こんにちは、フリーランスでライターをしている中村美穂と申します。
元々は女性誌の編集部で10年ほど働き、その後フリーになって今に至ります。
これまで取材で出会ってきたのは、本当にいろんな働き方・生き方をしている女性たちでした。
20代でバリバリ働く人、30代で結婚と育児に専念する人、40代でキャリアチェンジをする人、50代で独立する人。
「仕事と家庭、どっちを取るべきか」
そんなふうに悩んでいる女性が、今もたくさんいます。
ただ取材を重ねていくうちに、ひとつ気づいたことがあります。
それは「正解はひとつではない」ということ。
この記事では、最新の統計データと、自分らしい人生を選び抜いてきた女性経営者の事例を通して、働く女性のライフスタイルの選び方を一緒に考えてみたいと思います。
Contents
「仕事か家庭か」の二者択一は、もう古い
かつての日本では「女性は結婚して家庭に入るのが幸せ」という価値観が強く根付いていました。
しかしここ数十年で、その前提は大きく変わりつつあります。
数字で見る、変わりゆく女性のライフスタイル
最新のデータを見ると、女性の生き方が確実に多様化していることがわかります。
| 指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
| 50歳時未婚率(女性) | 17.81%(2020年) | 国勢調査 |
| 合計特殊出生率 | 1.15(2024年) | 厚生労働省 |
| 女性社長比率 | 8.6%(2025年、過去最高) | 帝国データバンク |
| 美容業の女性社長比率 | 33.3% | 帝国データバンク |
特に注目したいのは、女性社長比率が過去最高の8.6%を記録したことです。
帝国データバンクの全国「女性社長」分析調査(2025年)によれば、美容業では女性社長が33.3%を占めるなど、業界によっては女性の経営参画が当たり前になってきています。
合計特殊出生率は2024年時点で1.15と過去最低を更新しました。
これは「子どもを持たない選択」をする女性が増えていることを意味します。
ただし、この数字を「日本がダメになっている」とネガティブに捉えるのは少し違う気がしています。
私個人は、女性が自分の人生を自分で選べるようになった結果のひとつだと考えています。
「持つ/持たない」「いつ持つか」の自由度が広がっている
国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、結婚持続期間5〜9年の夫婦で子どもがいない夫婦の割合は、1977年の4.2%から2020年には12.3%まで上昇しました。
実に約3倍です。
「子どもを持たない」という選択肢が、社会の中で徐々に普通のことになってきていることがわかります。
一方で、「持つタイミング」も自由になってきました。
30代後半・40代での出産はもちろん、養子縁組や里親制度を通じて家族を持つ女性も増えています。
「いつ、どう持つか」の選択肢が広がっているのが、現代の女性のライフスタイルの大きな特徴です。
「自立」が、すべての選択を可能にする
ライフスタイルを自由に選べるようになった今、その自由を支える土台は何でしょうか。
私は「経済的な自立」だと思っています。
お金は選択肢を広げる道具
結婚するかしないか、子どもを持つか持たないか、転職するかどうか。
こうした人生の選択を「自分の意思」で行えるかどうかは、突き詰めれば経済的自立に左右されます。
夫の収入だけに頼って生きている状態だと、もし夫婦関係に問題が起きたときに「離婚を選べない」ということが現実に起こります。
逆に、自分で稼げる力があれば、結婚を続けるのも、別れるのも、子どもを持つのも持たないのも、すべて「自分の意思」で決められます。
お金は、人生の選択肢を広げる道具なのです。
私自身、編集者時代に出産・育児を経験し、フリーランスとして独立した今に至るまで、「自分で稼げる」ことの安心感に何度も助けられてきました。
夫婦のどちらかが病気になったとき、子どもの進学で出費がかさんだとき、自分の収入があることで「どうにかなる」と思える。
経済的な土台は、心の余裕にも直結します。
「ライフワーク」という考え方
経済的自立とセットで大切なのが「ライフワーク」という発想です。
単なる「収入を得るための仕事」ではなく、自分が情熱を注げる、ずっと続けていきたいと思える仕事。
これを持っているかどうかで、人生の充実度は大きく変わると思います。
ライフワークがある女性は、強いです。
仕事を通じて自分の存在意義を確認できるので、結婚や家族構成に関わらず、自分らしくいられるからです。
自分らしい選択をした女性経営者たち
ここからは、まさに「自分らしいライフスタイル」を貫いた女性経営者の例を一人ご紹介したいと思います。
たかの友梨さんです。
たかの友梨さんの歩み
たかの友梨さんは、エステティックサロン「たかの友梨ビューティクリニック」の創業者として、日本のエステ業界の歴史を作ってきた女性経営者です。
1948年生まれ、群馬県前橋市の出身。
幼少期に養子として育てられた経験、20歳での上京、皿洗いをしながら美容学校に通った日々、単身でフランスへエステ修行に渡った行動力。
1978年、東京・大久保に第一号店を開業してから現在まで、全国に直営店を80店舗以上展開する企業に育て上げました。
養子として育った子供時代から、エステ業界のパイオニアとして歩んできた道のりまで、たかの友梨さんの子供時代を含む詳しい経歴で確認することができます。
60歳で双子の母に
たかの友梨さんは、長くキャリアを最優先にしてきた女性です。
しかし60歳のときに、双子を養子として迎え、母になったというエピソードがあります。
「家族を持つタイミングは、社会通念に縛られなくていい」
彼女の歩みは、そんなメッセージを発しているように私には見えます。
20代・30代で結婚し子どもを持つことが「普通」とされてきた時代に、60代で家族を増やすという選択。
これは「自分のペースで生きる」ことを体現した、勇気ある決断だと思います。
たかの友梨さんの言葉から学ぶ
たかの友梨さんが残してきた言葉には、働く女性に響くものがたくさんあります。
- 「他人と過去は変えられない。でも自分と未来は変えられる」
- 「結婚は人生のおまけくらいに考えよう」
- 「女性にとっていちばん大事なことは自立。経済的に自分で自分をまかなえて、『これがわたしの仕事』といえるライフワークを持っている状態こそが自立」
- 「魅は与によって生じ、求によって減ず」
特に「結婚は人生のおまけ」という言葉は、現代の若い女性に向けたメッセージとして力強く響きます。
結婚しなければ幸せになれない、というプレッシャーに縛られなくていい、という肯定の声です。
仕事の成功を、社会に還元する生き方
たかの友梨さんが私の心に残るのは、ビジネスでの成功だけではありません。
児童養護施設「鐘の鳴る丘 少年の家」の後援会長を長年務めたり、カンボジアへの学校寄贈支援を続けていたりと、社会貢献活動にも力を注いでいます。
2019年と2025年に紺綬褒章を受章しており、その功績は国からも評価されています。
「自分の仕事で得たものを、次の世代や困っている人に還元していく」
こうしたスタンスは、ライフワークを持つことの本来の意味を教えてくれます。
仕事は単に「自分のため」だけのものではなく、社会や次の世代との接点を作ってくれるもの。
そう考えると、ライフワークを持つことの価値はさらに大きく感じられます。
キャリアと家庭、両立の現実と選択肢
理想を語るのは簡単ですが、現実にはまだまだ難しさがあるのも事実です。
残る「固定的な役割分担」
内閣府男女共同参画局が発行した令和7年版 男女共同参画白書によれば、すべての都道府県で家事関連時間は妻のほうが210分以上、仕事関連時間は夫のほうが180分以上長いという結果が出ています。
つまり「男性は仕事、女性は家庭」という昭和的な役割分担は、令和の時代になっても根強く残っているということです。
共働き世帯が当たり前になっても、家事・育児の負担は妻側に偏りがち、というのが現状です。
厚生労働省の令和5年度雇用均等基本調査によれば、女性管理職比率は全体で12.7%にとどまっています。
部長相当職にいたっては7.9%。
働く女性は増えているものの、意思決定の場に立つ女性はまだ少数派、というのが現実です。
2026年4月からは従業員101人以上の企業に女性管理職比率の公表が義務化されたので、ここから少しずつ変わっていくことが期待できます。
この現実を変えていくには、社会全体の意識改革と、各家庭での話し合いの両輪が必要だと思います。
「両立」のかたちは一通りじゃない
仕事と家庭の「両立」と聞くと、フルタイムで働きながら子育てもこなす、というイメージが浮かびがちです。
しかし両立のかたちは、家庭の数だけあると思っています。
- 子どもが小さい間は時短勤務で、徐々にフルタイムに戻すパターン
- リモートワークを最大限活用して、家にいる時間を増やすパターン
- 一時的に専業主婦・主夫を経験し、子育てが落ち着いてから復職するパターン
- 夫婦で完全に家事・育児を半々に分担するパターン
- 子どもを持たず、夫婦二人の時間を大切にするパターン
どれが正解ということはありません。
夫婦やパートナーシップの中で、自分たちにとっての最適解を見つけていけばいいのです。
自分にとっての「正解」を見つけるためのヒント
ここまで読んでいただいた方の中には、「で、私はどうすればいいの?」と思っている方もいるかもしれません。
そんな方に、自分らしいライフスタイルを見つけるためのヒントをいくつかお伝えします。
周囲の期待に振り回されない
「そろそろ結婚しなきゃ」「子どもを持つなら早いほうがいい」「キャリアを諦めるのはもったいない」
こうした周囲からの声に振り回される必要はありません。
たかの友梨さんが60歳で双子の母になったように、人生のステージは年齢で決まるものではないのです。
自分にとって「今」が最適だと思えるタイミングで、選択していけばよいのではないでしょうか。
自分の価値観を整理してみる
自分にとって何が大切か、改めて整理してみることをお勧めします。
- 自分にとって「幸せ」とは何か
- 仕事を通じて何を得たいか
- パートナーとの関係でどうありたいか
- 子どもを持つ/持たないことについて、本心はどう感じているか
- 10年後、20年後の自分はどうありたいか
紙に書き出してみると、意外と自分の本心が見えてきます。
人と比べるのではなく、過去の自分と今の自分を比べて「成長できているか」を基準にしてみてください。
経済的な土台を作る
そして何より、経済的な土台を作ることが大切です。
それは正社員でフルタイムで働く、ということだけを意味しません。
副業を持つ、専門性を高めて時給を上げる、資格を取得する、投資の勉強を始める。
自分にできる範囲で、お金と仕事のスキルを少しずつ積み上げていくことが、将来の選択肢を広げます。
まとめ
仕事と家庭、どちらかを選ばなければならない時代は、もう過去のものです。
最新の統計データを見ても、女性のライフスタイルは確実に多様化しています。
未婚・既婚・子どもを持つ・持たない・養子を迎える、どれも「自分らしい選択」のひとつです。
たかの友梨さんのように、60代で家族を増やす選択をした人もいれば、生涯独身でライフワークに打ち込む人もいます。
20代で結婚して子育て中心に生きる人もいれば、共働きで二馬力で生計を立てる夫婦もいます。
正解は人の数だけあるのです。
大切なのは、周囲の期待に振り回されず、自分にとっての「正解」を自分で選び取ること。
そのために必要なのは、自分の価値観を知ること。
そして、選択を可能にする経済的な土台を作ること。
私自身、女性誌の編集部で多くの女性たちを取材してきましたが、本当に輝いていた人たちには共通点がありました。
それは、誰かが決めた「正解」をなぞるのではなく、自分の人生を自分の手でデザインしていたということです。
「結婚しなきゃ」「子どもを持たなきゃ」「キャリアを諦めなきゃ」
そんな「べき」から自由になれたとき、人生は一気に動き始めます。
この記事が、これからのライフスタイルを考えるあなたの、ちいさなヒントになれば嬉しいです。
最終更新日 2026年6月18日 by isujin







