ハイエンドギターの中古は買い?相場・保証・当たり個体を掴むコツ

「いつかは手に入れたい」と憧れる、珠玉のハイエンドギター。しかし、その輝きに比例するように、新品の価格は年々高騰し、なかなか気軽に手を伸ばせるものではなくなってきました。円安や世界的な木材不足が続く2026年現在、その傾向はさらに加速しています。

「でも、憧れのあのモデルを諦めたくない…」

そんなあなたの脳裏に、きっと「中古」という選択肢が浮かんでいるのではないでしょうか。しかし、同時にこんな不安もよぎるはずです。

「中古って、なんだかんだ言って不安だな…」
「すぐに壊れたり、実は損をしたりしないだろうか?」
「『当たり』の個体なんて、どうやって見分ければいいんだろう?」

その気持ち、痛いほどよく分かります。中古楽器の世界は、一見すると専門知識が必要で、初心者にはハードルが高いように感じられますよね。

ご安心ください。この記事では、そんなあなたの不安を解消し、最高のパートナーとなる「当たり」の中古ハイエンドギターと出会うための全てを、徹底的に解説していきます。中古市場のリアルな相場観から、後悔しないための保証制度の比較、そしてプロが実践する具体的なチェックポイントまで、この記事を読み終える頃には、自信を持って中古ギターを選べるようになっているはずです。

なぜ今、ハイエンドギターの中古が注目されるのか?

そもそも、なぜこれほどまでに中古のハイエンドギターが注目を集めているのでしょうか。その背景には、大きく分けて2つの理由があります。

新品価格の高騰と中古市場の活況

最大の理由は、冒頭でも触れた新品市場の著しい価格高騰です。2026年現在、ギブソンやフェンダーといった主要ブランドは、毎年のように価格改定(つまり値上げ)を行っています。これは、世界的な木材の需要増や希少材の枯渇、そして円安が大きな要因です。私が店長をしていた頃と比べても、同じモデルが1.5倍近い価格になっていることも珍しくありません。

例えば、数年前まで10万円前後で購入できたフェンダーのメキシコ製プレイヤーシリーズも、今や15万円近くにまで価格が上昇しています。このような状況は、多くのギタリストにとって、新品のハイエンドモデルが「高嶺の花」となりつつあることを意味します。(参考:2026年版 エレキギターの値段の平均と初心者の適正予算相場

一方で、活況を呈しているのが中古市場です。状態の良い中古品であれば、新品価格の5割から6割程度で、憧れのハイエンドモデルを手に入れることが十分に可能です。つまり、新品のスタンダードモデルの予算で、ワンランク、ツーランク上のプロフェッショナルモデルを狙える。これが、多くの賢いギタリストが中古市場に目を向ける最大の理由なのです。

一点モノとの出会いという魅力

もう一つの魅力は、中古市場ならではの「一点モノとの出会い」です。惜しまれつつも生産が完了してしまった伝説のモデル、特定の年代にしか存在しない仕様のギター、有名アーティストが愛用したことで知られるヴィンテージ品など、新品では決して手に入らない一本と出会える可能性があります。

さらに、長年弾き込まれてきたギターには、新品にはない独特の「鳴り」が宿ることがあります。木材が乾燥し、振動がボディ全体に馴染むことで、角が取れたまろやかなサウンドや、豊かなサステイン(音の伸び)が生まれるのです。これは、時間をかけて育てられた楽器だけが持つ、かけがえのない価値と言えるでしょう。こうした偶然の出会いと、時が育んだサウンドを求めるロマンも、中古ギター探しの醍醐味なのです。

【相場一覧】狙い目のハイエンドギターはいくらで買える?

では、具体的に憧れのハイエンドギターは、中古市場で一体いくらくらいで手に入るのでしょうか。もちろん、年式や状態、希少性によって価格は大きく変動しますが、ここでは2026年1月現在の代表的なモデルの相場観を、以下の表にまとめてみました。ぜひ、あなたの予算と照らし合わせながら、狙い目のモデルを見つけてみてください。

ブランドモデル名新品実勢価格(目安)中古相場(目安)特徴
Fender (USA)American Professional II約25万円~15万円~20万円現代的なスペックと高い演奏性を両立した、フェンダーの新たなスタンダード。
Fender (Japan)Heritage / Traditional約15万円~8万円~12万円日本の丁寧な作りとヴィンテージライクな仕様で、国内外で高い評価を得る。
GibsonLes Paul Standard約40万円~25万円~35万円王道のロックサウンド。年代や仕様によって価格差が大きいのが特徴。
GibsonSG Standard約25万円~15万円~20万円軽量で取り回しが良く、独特の乾いたサウンドが魅力。
Paul Reed Smith (PRS)Custom 24約60万円~30万円~45万円美しい見た目と、ハムバッカーからシングルまで出せる多彩なサウンドが人気。
SuhrStandard / Classic約50万円~30万円~40万円完璧な作りと演奏性でプロからの信頼も厚い、モダンハイエンドの代表格。
James TylerStudio Elite / Classic約80万円~50万円~70万円唯一無二の鳴りとレスポンスを誇る、コンポーネントギターの最高峰。

この表を見ていただくと分かる通り、多くのハイエンドモデルが、新品の半額から7割程度の価格で取引されています。特に、Fender Japanのモデルなどは、10万円前後で非常にクオリティの高い個体が見つかることも多く、コストパフォーマンスを重視するなら、まさに狙い目と言えるでしょう。

もちろん、これらはあくまで目安です。中には、1950年代のギブソン・レスポールやフェンダー・ストラトキャスターのように、数千万円という驚愕の価格で取引される「お宝」のようなヴィンテージギターも存在します。そうした夢のある世界に触れられるのも、中古市場の面白さの一つですね。

後悔しないための「保証」徹底比較

中古ギターを購入する上で、価格やスペック以上に重要と言っても過言ではないのが「保証」の有無とその内容です。どんなに素晴らしいギターでも、購入後すぐに不具合が出てしまっては元も子もありません。安心して愛用するためにも、各販売店がどのような保証を用意しているのか、事前にしっかりと比較検討することが不可欠です。

ここでは、主要な楽器販売店の中古保証制度を比較してみました。特に「保証期間」と「保証内容」は、お店によって大きく異なるため、注意深く確認しましょう。

販売店保証期間(3万円以上のギター)保証内容のポイント返品保証
島村楽器3ヶ月同一品番での交換または返品対応。不可(初期不良対応のみ)
イシバシ楽器12ヶ月消耗品(フレット、ナット等)は対象外。修理対応が基本。10日間(初期不良・動作不良品)
クロサワ楽器6ヶ月消耗品は対象外。専門リペアマンによる修理対応。不可(初期不良対応のみ)
Nico-Nico Guitars12ヶ月期間内の不具合は無償修理。消耗品も相談可能な場合あり。不可(初期不良対応のみ)

この表から分かるように、保証期間は3ヶ月から1年と幅広く、特にイシバシ楽器Nico-Nico Guitarsのような専門店が手厚い保証を提供している傾向にあります。一方で注意したいのが、「保証対象外」の項目です。多くの店では、フレットやナットといった消耗品の摩耗は保証の対象外となります。つまり、購入後にフレットの減りが原因で音詰まりが発生しても、保証修理は受けられないケースがほとんどなのです。

だからこそ、次に解説する「当たり個体を掴むチェックポイント」が、これほどまでに重要になってくるわけです。

また、「返品保証」の有無も大きなポイントです。例えばイシバシ楽器では、初期不良や動作不良があった場合に10日間の返品保証を設けています。実際に家で弾いてみて初めて気づく不具合もあるため、こうした制度があると、より安心して購入に踏み切れますね。

保証が手厚いということは、それだけお店が商品に自信を持っている証拠でもあります。価格だけでなく、こうしたアフターサービスの充実度も、信頼できるお店選びの重要な指標と心得ましょう。

プロが教える!当たり個体を掴む5つのチェックポイント

保証制度が充実しているお店を選ぶことは大前提ですが、そもそも不具合のない「当たり」の個体を選び抜くことができれば、それに越したことはありません。中古ギターは、同じモデルであっても、前のオーナーの弾き方や保管環境によってコンディションが大きく異なります。まさに「一点モノ」だからこそ、その価値を正しく見極める「目」が必要になるのです。

ここでは、私が長年の査定経験で培ってきた、当たり個体を掴むための5つのチェックポイントを、優先度の高い順にご紹介します。これさえ押さえれば、あなたも「ハズレ」を引く確率は格段に低くなるはずです。

チェックポイント1:ネックとトラスロッドの状態

中古ギター選びにおいて、最も重要かつ、後から修正が効かない可能性が高いのが「ネック」の状態です。 ギターの弾き心地や音程の正確さを司る、まさに心臓部と言えるでしょう。私が査定を行う際も、まず最初に、そして最も時間をかけてネックの状態を確認します。

具体的に見るべきは、ネックが弦の張力に負けて弓なりに反ってしまう「順反り」や、その逆に反ってしまう「逆反り」、そしてネック自体がねじれてしまっている「ねじれ」がないかです。多少の反りであれば、ネック内部に仕込まれた「トラスロッド」という金属の棒を調整することで修正できます。

しかし、問題はトラスロッドの調整範囲に余裕があるかです。もし順反りを修正するためにトラスロッドを締め切ってしまっている状態(「トラスロッドが締め切りいっぱい」などと表記されます)だと、今後さらに反りが進行した場合に、もう調整の余地がありません。また、稀にトラスロッドが効かない、あるいは折れてしまっているケースもあります。

正直なところ、トラスロッドの状態を素人が正確に判断するのは非常に困難です。一番確実なのは、お店のスタッフに「トラスロッドの余裕はありますか?」と正直に質問し、実際に調整してもらうことです。信頼できるお店であれば、快く対応してくれるはずです。(参考:中古エレキギターを選ぶ時チェックしたい5つのポイント|イシバシ楽器

ネックのコンディションは、ギターの寿命そのものを左右する最重要項目です。少しでも不安を感じたら、その個体は見送る勇気も必要です。

チェックポイント2:フレットの残量

ネックの次に重要なのが、弦が直接触れる金属のパーツ「フレット」の消耗具合です。フレットは弾けば弾くほど摩耗し、すり減っていきます。この残量が、ギターの演奏性と将来的なメンテナンスコストに直結します。

一般的に、フレットの残量は以下のように評価されます。

  • フレット残8割以上: ほとんど消耗しておらず、全く問題ありません。最も理想的な状態です。
  • フレット残6~7割: ある程度弾き込まれていますが、演奏上の支障はほとんどありません。多くの優良な中古品がこの状態です。
  • フレット残5割以下: かなり低くなっており、特定のポジションで音詰まり(ビビり)が発生する可能性が高くなります。この状態になると、「リフレット」と呼ばれるフレット全体の交換作業が必要になることがあります。

このリフレット、実は非常に高額なリペアで、安くても4万円から、ギターの仕様によっては8万円以上の費用がかかることも珍しくありません。「安くギターを買えたと思ったら、リフレット代で結局高くついた」というのは、中古購入の失敗談として非常によくあるケースです。フレットの残量が5割以下の個体は、そのリペア費用を覚悟の上で購入を検討する必要があります。

チェックポイント3:電装系の状態

エレキギターのサウンドを電気信号に変えるピックアップや、音量・音色を調整するポット(つまみ)、ピックアップを切り替えるセレクタースイッチといった「電装系」も確認が必要です。

アンプに繋いで音を出し、ボリュームやトーンのつまみを回した際に「ガリガリッ」というノイズ(通称:ガリ)が出ないか、セレクターを切り替えた際に音が途切れたりしないかを確認しましょう。多少のガリであれば、接点洗浄剤で改善することもありますが、症状がひどい場合はパーツの交換が必要です。幸い、これらのパーツ自体の価格は数千円程度で、修理費用も比較的高額にはなりにくいのが一般的です。

チェックポイント4:外観と改造歴

ボディの傷や打痕といった「外観」は、多くの人が気にするポイントですが、実はサウンドへの影響はほとんどありません。むしろ、多少の傷があることで価格が安くなっている個体は、気にしない人にとっては「お買い得品」と言えるでしょう。ただし、木部が大きく割れているような致命的なダメージは避けるべきです。

それよりも注意したいのが「改造歴」です。前のオーナーによって、ピックアップやペグ(糸巻き)、ブリッジなどがオリジナルのパーツから交換されていることがあります。

  • メリット: より高品質なパーツにアップグレードされている場合、サウンドや演奏性が向上している可能性があります。
  • デメリット: オリジナルの状態を重視するヴィンテージ市場では、価値が下がってしまうことがあります。また、配線などが雑に行われていると、ノイズの原因になることもあります。

どのようなパーツに、どういった意図で交換されているのかをスタッフに確認し、その改造が自分にとってプラスになるかを判断しましょう。

チェックポイント5:試奏での最終確認

ここまでの4つのポイントをクリアしたら、最後は必ず「試奏」をさせてもらいましょう。スペックや見た目だけでは分からない、そのギターが持つ本当のポテンシャルを感じ取るための、最も重要なプロセスです。

試奏では、以下の点を意識してみてください。

  • 必ずアンプに繋いで音を出す: クリーントーンでコードを弾いたときの響き、歪ませてリードを弾いたときの音の伸びや太さを確認します。
  • 生鳴りもチェック: アンプに繋がない状態での音の大きさを「生鳴り」と呼びます。生鳴りが大きいギターは、ボディやネックがよく振動している良い個体である可能性が高いです。手に伝わる振動も感じてみましょう。
  • フィーリングを確かめる: 実際に構えたときのボディのバランス、ネックを握ったときの感触など、スペックでは分からない「自分との相性」を確かめます。

最終的に、あなたの心を動かすのは「理屈」ではなく「感覚」です。「このギター、なんだか弾きやすいな」「この音、好きだな」と感じられるかどうか。その直感を信じることが、最高のパートナーと出会うための最後の鍵となります。

信頼できる中古ハイエンドギター販売店リスト

さて、これまでのチェックポイントを個人で、しかもネットオークションなどで見極めるのは至難の業です。だからこそ、中古のハイエンドギターは「どこで買うか」が決定的に重要になります。では、安心して最高のギターと出会えるのは、どのようなお店なのでしょうか。

私が断言できる、信頼できるお店の条件は以下の3つです。

  1. 専門知識豊富なスタッフがいること: ギターの状態を正確に評価し、あなたの質問に的確に答えてくれる専門家がいるお店を選びましょう。
  2. リペア体制が整っていること: 買い取った楽器を販売前にしっかりと調整・クリーニングし、万が一の際にも修理対応できるリペアマンが常駐、または提携しているお店は信頼できます。
  3. 手厚い保証制度があること: 前述の通り、長期の保証を付けてくれるお店は、商品に対する自信と顧客への責任感の表れです。

これらの条件を満たす、具体的な販売店をいくつかご紹介します。これらのお店であれば、初めて中古ギターを購入する方でも、安心して相談できるはずです。

大手の総合楽器店

全国に店舗を展開する大手楽器店は、豊富な在庫量と、どの店舗でも一定水準以上のサービスを受けられる安心感が魅力です。

  • イシバシ楽器: 中古在庫の豊富さは業界随一。Webサイトの情報量も多く、詳細な写真で個体の状態を確認しやすいのが特徴です。最長1年の保証も心強いですね。
  • 島村楽器: 全国の店舗ネットワークを活かした取り寄せサービスが便利です。購入後のアフターサポートも手厚く、初心者にも親身に対応してくれます。特に、新潟にある島村楽器の各店舗では、県内最大級の品揃えを誇り、新潟でハイエンドギターを購入する際の体験記でも紹介されているように、試奏サービスや防音室での試弾環境が整っており、じっくり音を感じながら選べるのが大きな魅力です。
  • クロサワ楽器: 特にギブソンやマーティンといったハイブランドや、ヴィンテージギターの品揃えに定評があります。専門性の高いスタッフが多く、深い知識に基づいたアドバイスが期待できます。

個性豊かな専門店

特定のブランドやジャンルに特化した専門店は、店主のこだわりが詰まった逸品と出会える可能性を秘めています。

  • Nico-Nico Guitars(東京・渋谷): 常時500本以上という圧倒的な在庫量を誇る中古専門店。1年間の手厚い保証と、専門スタッフによる丁寧な検品・調整が魅力で、遠方から訪れるファンも多い名店です。
  • シモクラセカンドハンズ(東京・お茶の水): 日本一の楽器街、お茶の水に店舗を構える老舗の中古専門店。入門モデルからハイエンドまで、幅広い価格帯のギターが所狭しと並び、宝探しのような感覚で楽しめます。

これらのお店は、いずれも長年にわたって多くのギタリストから信頼を勝ち取ってきた実績があります。まずはWebサイトを覗いてみたり、実際に店舗に足を運んで、その雰囲気を感じてみることから始めてみてはいかがでしょうか。

まとめ

憧れのハイエンドギターを、より現実的な価格で手に入れることができる「中古」という選択肢。その魅力と、後悔しないための具体的な方法について、ご理解いただけたでしょうか。

最後に、この記事の最も重要なポイントを振り返ります。

  • 知識は最大の防御: 中古市場は価格高騰中の今、まさに宝の山です。しかし、その価値を正しく見極めるには「知識」という武器が不可欠です。ネック、フレット、保証制度。この3つのポイントを理解するだけで、失敗のリスクは劇的に減少します。
  • お店選びが9割: どんなに知識を身につけても、個体の状態を個人で完璧に見抜くのは困難です。だからこそ、専門知識とリペア体制、そして手厚い保証を備えた「信頼できるお店」を選ぶことが、成功への何よりの近道となります。
  • 最後は「好き」という直感: スペックや理屈を超えて、あなたが「弾いていて楽しい」「この音が好きだ」と感じられるかどうか。数々のチェックポイントをクリアした先にある、その純粋な感覚こそが、あなたとそのギターが最高のパートナーであることの何よりの証です。

中古ギターとの出会いは、一期一会です。この記事で得た知識を羅針盤に、ぜひ勇気を出して、あなただけの一本を探す旅に出てみてください。その旅の先に、あなたの音楽人生を豊かに彩る、かけがえのない出会いが待っていることを、心から願っています。

最終更新日 2026年1月27日 by isujin


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